メタボと喫煙
メタボとタバコはそれぞれが病気のリスクをもち、それらが合わさることでさらに病気を発症させる確率が高くなります。
生活習慣を改善して健康的な生活を送りたいのであれば禁煙は必須となります。
喫煙のリスク
WHO(世界保健機関)の報告では「喫煙はすべての臓器を侵し、がん、虚血性心疾患、脳卒中、胎児への傷害などの主要な原因である」と主張されています。
喫煙と肥満
「禁煙をすると太る」と主張する方もいらっしゃいますが、これは禁煙によって太ったのではなく、喫煙という習慣がなくなったために太ったということになります。
・食後の一服を行わないため、習慣的に食事を終えた気分にならない。
・味覚が正常に戻り、食事が美味しく感じられ食べ過ぎる。
・禁煙によって口寂しくなり間食をしてしまう。
禁煙によって太る場合はこのようなケースが多く見られます。
喫煙と中性脂肪
さらに禁煙によって太ってしまった方の多くは、内臓脂肪型の肥満ではなく、皮下脂肪型の肥満になる傾向が高いと言われています。
逆に喫煙していた時期と比べ、禁煙後の測定では中性脂肪が減少したというデータもあります。
これはタバコに含まれるニコチンなどの有害物質が、中性脂肪や悪玉コレステロールを増加させ、善玉コレステロールを減少させているためだと言われています。
またタバコの燃焼によって発生する一酸化炭素は、血中コレステロールを酸化させ血管壁を傷つけますので、動脈硬化のリスクも高まります。
喫煙が誘発する病気
喫煙は様々な病気の原因となるといわれ、タバコに関連する病気には以下の疾患があります。
がん
タバコの煙に含まれる発がん性物質が、DNAを傷つけるためがんになると言われています。
例えば、煙に含まれる発がん性物質のベンツピレンは体内で代謝される時に、「究極発がん性物質」とも言われる、ベンツピレンジオールエポキシドに変わります。
喫煙によって起こるがんは、肺がん、喉頭がん、口腔・咽頭がん、食道がん、胃がん、膀胱がん、腎盂・尿管がん、膵がんなどがあると言われています。
最近の研究では肺がんとの関連が認められないという報告もございましたが、それでもその他のがんの原因物質であることには変わりありません。
呼吸器疾患
タバコを吸うことで、慢性気管支炎、肺気腫などの病気になり、この2つの病気をまとめて、慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ぶこともあります。
軽度のものを含めると習慣的にタバコを吸うほぼ100%の人で、気腫性変化を生じさせています。
これはタバコを吸わない人にはほとんど見られません。
COPDが重症化すると自発的に酸素を取り込みづらくなり、自宅酸素吸入や、鼻にチューブを通しての酸素吸入処置が必要になることもあります。
COPDは肺の機能が半壊しているようなものなので、慢性的な酸素不足の状態になります。
常に全力疾走しているような状態という大変苦しい疾患であり、慢性閉塞性肺疾患は死よりも恐ろしい病気と言われています。
循環器疾患
タバコの煙には活性酸素が含まれていて、これが血管の内皮細胞を傷つけることで動脈硬化を促進します。
動脈硬化が進行すると、虚血性心疾患、脳卒中といった病気を招きます。
歯科疾患
タバコを吸うことで、はぐきの血管が収縮し炎症後の血管新生を遅らせ、また炎症自体を起こしにくくします。
そのためタバコを吸う人の多くが歯周病にかかり、歯を失ってしまう数も多いという統計があります。
また、歯周病菌が血流に乗り全身に巡ることで、動脈硬化も促進させます。